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大阪高等裁判所 昭和35年(く)65号 決定 1960年8月16日

少年 K(昭二〇・三・二六生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件申立理由の要旨は、申立人はその犯した罪については責任を感じているが、申立人の家庭においては母は胸の病気で無理をすると次第に悪くなる有様であるし、他の家族も体が弱い状況であるから、申立人はこのさい奮起しなければならないものであつて、申立人はこの点を自覚して反省し、今回少年鑑別所に送致される一ヶ月も前の昭和三五年四月末頃から既に真面目な人間に立帰つていたのであるから、これを初等少年院に送致することとした原決定は著しく不当であるからその取消を求めるというのである。

よつて記録を調査するに、少年の非行は昭和三四年五月二一日から同三五年四月二〇日の約一年間に単独又は他と共同で年少者に対し連続的に一二回に亘り金品喝取の所為に及んだ外、ほぼ同期間に一三回に亘り窃盗、傷害、暴行、暴力行為等処罰に関する法律違反、殺人未遂、贓物牙保、銃砲刀剣類等所持取締法違反、住居侵入等の所為に及んだものであつて、少年は本件犯行の一部については既に昭和三四年八月二二日と同三五年一月二六日の再度にわたり少年法第二五条所定の家庭裁判所調査官の観察に付せられたことがあるのに、これに反省することなく、更に本件の過半の非行を重ねたものであり、他方申立人の家庭をみるに実父とは七歳の時より生別しており、実母は相互銀行の集金人をしているが申立人の指導監督力はなく、他に申立人を監督する者もなく、尚申立人の交友関係も悪く、又大阪少年鑑別所の鑑別結果通知書(三通)によると申立人は知能は平均値であるが、反省的でなく、心情の過感性及び爆発性が強くその発現は強迫性即行性で、対人関係で問題を起し易いものであつて、近時その傾向を一層強めており、到底自律改善は期待できないとされていること等がそれぞれ認められるから申立人の所論反省なるものは到底これをそのまま認めることはできない。従つて上記の理由を含む原決定詳記の理由により原裁判所が少年を初等少年院に送致する決定をしたのは適切妥当であると認められ、本件抗告は理由がないから、少年法第三三条第一項により主文のとおり決定をする。

(裁判長裁判官 松村寿伝夫 裁判官 小川武夫 裁判官 柳田俊雄)

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